7dbe4609.jpg皆さん、ブレーキフルードの選び方ってどうしてますか?
未だに「DOT5はレース用だし…」とか、色々な話に惑わされてしまって、なんとなく、首を傾げながら選んでしまってないですか?
先日、一人のお客様からブレーキフルードの選び方についてご質問がありましたので、この機会に解説したいと思います。

上の表(※)は、FMVSS(米国)規格と、JIS K2233規格「非鉱油系ブレーキ液」に基づくデータの一部に、JCDプロダクツHPに掲載されている性状表のデータを合わせたものです。
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一見、「なんのこっちゃ?」という数値ですが、これをつぶさに見ていくと、ブレーキフルードの選び方が分かってくるのです。
まず、それぞれの項目を説明しましょう。

●ドライ沸点---ブレーキフルードが新品の状態で、沸騰する温度ということが出来ます。
●ウエット沸点---ブレーキフルードを半年以上使用(想定)し、水分を3.0〜3.2%含んだ場合の沸点です。
  もちろん、各々沸点が高い方が、ベーパーロックを起こしにくいと言えます。
●動粘度---マイナス40℃、100℃での液体の硬さを表しています。
  数字が大きいほど硬いことを示しています。

これらの項目をよくご確認いただくと、それぞれの用途が読み取れてくると思います。

タイムトライアルやレース用に限定して使用している車両であれば、ドライ沸点と、100℃での動粘度が高いものを選びたいので、その二つの数値が最も高い「Type-S」となります。
ただし、-40℃の動粘度をご覧いただくと分かりますが、低温では硬すぎてFMVSSの規格値から外れてしまっていることに注意してください。寒冷地で行う競技はもちろん、一般走行でも使用を避けることをお勧めします。「Type-S」は、それ程にスポーツ性を重視しているブレーキフルードだという事をご理解ください。

これに対し、低温を含めて四季を通じて一般的に使いやすいのが「DOT5」です。
ドライ沸点こそ少々「DOT4」に及びませんが、水分を含んでしまっても沸点が高く、同時に低温や高温でも柔らかいことが見てとれます。
特に最近当たり前となってきているABS装着車では、低温時にフルードの動きが硬いと作動にリスクが伴う可能性も高いので、こんなことからも一般走行には「DOT5」が一番向いており、「DOT5はオールマイティ・フルード」と言うことができます。

で、ここで「DOT4の使い道は??」という疑問が素直に浮かんでくると思います。
「DOT4」は、まさに「Type-S」と、「DOT5」の中間的な使い方と言っていいでしょう。つまり、ナンバー付車両で、週末などにサーキットを走ったりする使い方には、ドライ沸点と100℃での動粘度が高い「DOT4」がベストな選択となるのです。
お客さんの声では、ノーマル車に近い状態でサーキット走行をしていて、「DOT5」だとABSのフィーリングが"ぐんにゃり"しているので、"しっかり感"が欲しいという理由で、「DOT4」を使用しているという方もいらっしゃるほどです。

ざっくりとご説明しましたが、ブレーキフルード選びの参考になりましたでしょうか?
「DOT5はすぐに水分を含んでしまうからレース用!」なんて、古い伝説に惑わされることなく、ご自身の用途に合ったフルード選択をしてください。